今回は堺市で精密射出成型製品の企画、開発、生産、販売を行っている大和化成株式会社様の堺浜工場にお邪魔し、澤田明伸社長とご子息の明文専務にお話をお伺いして参りました。
 本社ビルは従来の機械工場のイメージを一新させる、清潔感に溢れた最新の設備で、専務のこだわりが沢山つまっていました。
広々としたオフィススペースは、様々な部門のスタッフが顔を合わせて仕事をできるようにという配慮から、V字型の大きなデスクが三台ずつ並べられています。お邪魔した際はすっきりと片付いていましたが、散らかると強制席替えなどで整理整頓した状態をキープする努力をされているとのこと。

またオフィスに隣接する「ナレッジパーク」と名付けられたスペースには沢山のホワイトボードが並んでいました。このボードを使って問題点やそれを解決する方法、流れなどを「見える化」し、情報を共有しています。また、ここは昼食をとったり本を読んだりするコミュニケーションの場にもなっており、専門書以外に社長文庫、社員文庫というものがあって毎月お勧めの図書も並べられています。ちなみに先月の社員文庫は『大人の流儀3 別れる力 伊集院静著』、今月は『人生生涯小僧のこころ 塩沼亮潤著』だそうです。


大和化成さんの始まりは、戦後、社長のお父様である澤田勇氏がビニールハウスなどを扱うプラスチック卸、販売業を始められたところに遡ります。20年ほどたった頃にオイルショックが起こり、プラスチック用品の値段が急騰して商売が成り立たなくなった為、製造業に転換。事業形態の大きな方向転換は丁稚奉公のような修行をするなど大変なご苦労があったそうですが、堺の地場産業である自転車の部品やスーパーの袋などに始まり、現在の主力となっている電池事業に参入することになりました。


 近年、日本人の誰もが持っている携帯電話やポータブルゲーム機には、充電できる小型のリチウムイオン電池が使われています。リチウムという物質は水に触れると発火するという性質を持っている為、電池外部から水が浸入しないようにする必要があるのと同時に、その危険なリチウム自体が外に漏れ出すのを防ぐ必要があります。これらの役割を担っているのが大和化成さんで作られるガスケットという部品。小さなものですが不良があると大きな事故に繋がる大切な部品です。先日、航空機の電池不良が大きなニュースとなっていたのは皆さまの記憶に新しいと思いますが、大和化成さんでは徹底的に「不良品をつくらせない」「工程で品質をつくりこむ」仕組みを運用していらっしゃいます。今回は2011年に美原区から移転したばかりの堺浜工場の見学もさせて頂きました。
工場の入口前でマスクとヘアキャップを装着し、粘着テープで洋服のホコリをとります。食品工場のような念の入れようですが、これもたった一つの不良品も出さない為の工夫の1つです。


射出成形とは、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法です。大和化成さんではこれらの過程を完全オートメーション化されている為、工場内は巡視の作業員さんだけが仕事をしていらっしゃいました。
ロボットから次々に作り出された製品はそれぞれ通ってきた順路ごとに仕分けされます。これも万が一製造工程に不備が起こった場合、いち早く対応するための工夫です。また、プラスチックですから製造過程で出た屑は溶かせばまた使えるのですが、最高品質を維持するため再利用は行われず、精密機器を扱わないメーカーに販売されています。


そうして万全の態勢で作られた製品は、今度は人の目で検品をします。定量検査では数値を測定し、定型検査では正確な形に出来ているか、顕微鏡で検査します。更に、万が一出荷後に何かあった時にも即座に対応できるよう、コンピュータによるトレーサビリティシステムを整えていらっしゃいます。
このように最高品質の製品を作り続けた結果、現在の主力商品は小型家電の電池から、より付加価値の高いハイブリッド車やスマートグリッドと呼ばれる住宅やコンビナートの非常用電源など、大型で高額の電池に使われるガスケットに移行しつつあります。

成長産業であるこの分野は数倍、数十倍とどんどん市場が拡大していますが、それだけに設備投資も半端なものではなく、数億円単位の話になります。
大和化成さんでは2006年に専務が入社されて以降、積極的に公的機関に働きかけ、2007年の「堺技衆」認定をきっかけに、経済産業省「2009元気なモノ作り中小企業300社」選出、経済産業省産業クラスター計画「関西フロントランナー大賞2010」受賞、「第4回ものづくり日本大賞」優秀賞受賞など、数々の賞、認定を受けていらっしゃいます。それにより助成金や補助金を受けることが出来るようになった為、事業拡大を推進することが可能になっているのです。

事業承継、変革、移転と会社にとって重大なことを並行して行っている現状は生易しいものではありませんが、がむしゃらに頑張ってここまで会社を大きくして来られた社長に、大学卒業後社外でしっかり勉強し、社長とは違う目線で新しい風を送り込む専務が加わった大和化成さんは、きっと今まで以上に発展していかれることでしょう。

(担当:福田 取材・文:鈴木)

大和化成株式会社 さま
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