事業を始めた当初は石の上にも3年と言われるように、ただ我武者羅に働く以外にないが、一般的に労働分配率が50%を超えると経営を圧迫するので、利益の分配が合理的(バランス)であるかどうかを検討する必要があり、経営を維持・発展・継続していくために、最低限の利益を確保することを念頭に我々は無意識に行動している。

低経済成長下では会社業績が横ばい・下降する現況では、自己の業種の平均的な人件費と労働分配率をTKC経営指標により調べ、知っておく必要がある。

 人件費とは事業(仕事)に従事する人に対する報酬(給与)であり、月給・賞与・社会保険料等の法定福利費、通勤費、厚生費を含む。概算で月額給料の1・7倍程度×12カ月が年間の人件費であるとして、経営成績を判断する必要がある。

 
 労働分配率とは限界利益に対する人件費の比率である。つまり、人件費÷限界利益(売上−変動費)、変動費とは売上に比例して発生する費用(仕入等)である。

経営は人が全てだと考え、限界利益の概ね50%を占める点に注目し、自己の業種平均的な給与水準以上を支払うためにも経営努力するしか方法はないが、あまり他社のことを気にしても仕方ない。

従業員の立場からは、自己の給与と比較して担当売上に比較して、会社は儲けすぎていると錯覚している場合が多い。労働分配率を示し、経営が成り立つ売上と限界利益を開示し、共に生活をしていくためには、売上高獲得担当者は平均的に人件費の3倍の売上高を獲得しなければ経営は維持できないと言われる点を理解し、これを目安に売上乃至限界利益について従事員1名当たり1千万円を努力目標にしなければ、ベースアップが出来ない点を理解して、経営者・従業員共々経営に工夫をして行かなければならない。

 
  戦略・戦術上の理由がない限り、真性赤字(仕入値以下で販売するような場合)、疑性赤字(限界利益は出るが給与等の諸経費を差引くと赤字になる場合)では経営は維持できない。つまり顧客から頂く売上高以上に担当者人件費が多くては経営が成立たない。 近江商人の経営理念“三方よし”つまり、顧客・従業員・経営者がすべて良いというような社風を構築するように常に行動しなければならない。

従業員の生活を守るためにも労働分配率を注視し、他社より給与が高く、しかも労働分配率が低い状態の経営体質を作り上げるのが理想である。


 そのためのキーワードの一つは全従業員がパソコンを秘書のように活用することである。販売単価は一物一価の法則に従い値上げできにくいから、パソコン活用によりスピード化をし、売上回転数を速める必要がある。是が利益を生む対策の一つである。

また、給与の大きなウエイトを占める社会保険料について、年金問題での国の杜撰な実態では国家を信頼できなくなる。我々は、将来への生活基盤である年金について、自己責任において管理せざるを得ないのだろうか。