代表社員 税理士 福田重実

 平成25年10月1日に安倍首相が来年4月1日からの消費税増税を正式に表明しました。9月号で記載したように請負工事等については平成25年9月30日までに契約したものについて平成26年4月1日以降の完成引渡しであっても5%の消費税で良いこととされています。請負工事についての経過措置についての質問が多かったので説明させていただきます。

平成25年9月30日までに工事請負工事契約をなされたものについては、完成引渡しが26年4月以降であっても旧税率5%が適用されることとされています。この場合その請負に係る下請け業者が行う工事については平成25年9月30日までに請負契約がされていない場合は、その工事の完了引渡しの日の消費税率が適用されることになります。
具体的には元請が5%の工事なのだから下請けも5%で請求するように要請されることがある場合・・・下請けの引渡し時期が26年4月以降の場合は8%の消費税が適応されますので下請けにとっては3%(増税分)の工事代金からの値引きとなってしまいます。

増税前 
元請の消費税 
工事1000万円消費税50万円 合計1,050万円
下請け消費税
工事800万円消費税40万円 合計840万円
元請の納付消費税 10万円(50万円−40万円)
下請の納付消費税 40万円

増税後 
元請の消費税  経過措置適用有(元請のみ)
工事1000万円消費税50万円 合計1,050万円
下請け消費税 26年4月以降の完成引渡
工事777万円消費税 63万円 合計840万円
元請の納付消費税 −13万円(50万−63万円)
下請の納付消費税 63万円

上記のように元請が経過措置の請負をし、下請けに従来通りの価格で工事を要請された場合、元請は利益が200万円から223万円に増加しさらに消費税が23万円減少し、下請けは23万円利益が減少し消費税23万円増加してしまう結果になります。
上記のようなことは消費税の転嫁拒否等の行為に該当し「消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置の第1条」の違反になります。またこれを拒否することは取引禁止等の報復行為も同法律違反となります。このような事例があった場合は公正取引委員会、主務大臣、中小企業庁に報告されると公正取引委員会等が立入検査、指導し勧告公表するとされています。国ではこの検査する人員を増員して対応に当たるとしています。
しかし、元請を公正取引委員会等に報告することはなかなかできるものではありませんが下請業者としては価格転嫁できなければ利益が減少しますから消費税の転嫁ができる交渉が重要であると思います。

マークスでは12月10日に消費税価格転嫁セミナーを開催することになりましたので、是非ご参加頂き疑問点を解消してください。なお、セミナーの詳細につきましては次月号でお知らせ致しますので、今しばらくお待ちください。