奈良在住の社会保険労務士の林さんからご招待状を頂き、10月1日奈良ロイヤルホテルでカンヌ国際映画賞を受賞した河瀬直美監督の、“もがりの森”という映画を観ました。映画の題名「もがり」とは古代日本の葬祭礼儀、一般的には死者を弔うという意味で、死者を尊い存在として崇めることを「もがり」というそうです。

 河瀬監督は1969年生れ奈良市出身で、幼少のころ実父母とも離別。母方の祖母の妹に育てられ、その後大阪写真専門学校映画科卒業、1997年カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞、第60回カンヌ国際映画最高賞に次ぐ、グランプリ(審査員特別大賞)を受賞されました。

私の住む奈良・都祁の里は古い歴史がありますが、そこから数キロ離れた場所が舞台となっており、俳優はすべて素人集団で主人公の老人は古本屋喫茶店主だそうです。河瀬監督の祖母が5年前に認知症を患ったことから、監督自身の家族・自己のプライベートな感情、認知症の人とのかかわり方がこの作品の原点となったようです。
 

 認知症の人はかわいそうだと下を向いている部分がありますが、彼らは認知できなくなっただけで感情も魂も存在します。監督は現代人が見失った人間の感情や魂を訴えたかったそうで、その人がその人らしくあれば良く、こうしなければ駄目というのは世の中には無い、というメッセージがこめられた作品です。

物語はグループホームに住む軽度認知症の老人「しげき」が主人公。しげきは33年前に妻を亡くした想いを断ちがたく、妻の居場所を求めながら、新任女性へルパーを道連れに森を彷徨います。ヘルパーの女性も子どもを亡くしたことがきっかけで夫と別れた、という思いを抱きながら毎日を懸命に生きようとしていました。この2人がしげきの亡き妻の墓参りに行く道中の心の交流を映し出しています。


 人生100年・老人社会を迎え、夫婦のいずれかがもし認知症になった場合どうするか、この映画を見て考えさせられる点でした。
 もし、私が認知症となった場合には妻が健康である限り、面倒を見てもらえるだろうが(果たしてそうだろうか?)妻が認知症となった場合はどうするか。これから妻が認知症になることを想定して、まず妻に頼っていた事項を自己で処理する。老いるに従い妻に心配事をさせないように心掛ける。今、妻の一番の心配事は私の通勤途中の車両事故だと思うので、乗用車の安全運転には充分心がけようと思う次第です。