いよいよ冬将軍の到来、我が家の朝の気温はマイナス6度で雪がまばらに5pほど積もったままです。“冬来たりなば春遠からじ”と言うように、本年からの一段と厳しい経済環境を乗り切ればまた春がやって来ることでしょう。事務所ニュース20年12月号において「サブプライムローン」について述べましたが、現在の金融世界恐慌を思わせる時代、企業会計を扱う仕事に携わっている我々にとって、利益を算出す場合に企業価値が正しく数字で表現されるか否かについて重大な関心があります。

 会計学の講義を受けた学生時代「1930年代の世界恐慌を契機に取得原価主義による企業会計原則が出来たが、この取得原価主義は会計基準の中に取得原価という“赤い1本の糸”が貫かれているのだ、この取引は本当に客観性が、あるのかないのか、との問いを常に発するのだ」と先生が論じられたことを鮮明に思い出しますが、当時「客観性」について広辞苑で調べたが、いま一つ理解できませんでした。今もネットで調べてみたがピンときませんが、社会科学というものは常に曖昧模糊の要素を含むようです。

 時代の経過によるインフレで土地等は時と共に取得価額と売却予想価額とには大きな隔たりが生じ、企業実態を示さない。そのため近年、企業会計は経営実態を正確に反映するためと称し、評価を取得原価主義から一部時価主義に改めてきた歴史があります。

 この時価主義の最大の欠点は取得原価主義に比べ、客観性が乏しい点ですが「百年に1度」の金融危機に際し、米国投資会社・大手証券会社が担った金融資本主義は市場がないに等しく、金融派生商品等の時価評価が難しいものにまで金融工学を悪用し、いい加減な格付会社のお墨付により、保険を付けて安心感を与え、また、取らぬ狸の皮算用である「現在割引価値」という概念により時価を付け、金融商品に仕立て上げ時価を利用しつくす金融文化をうみ混乱を世界的にまき散らした。

 平成20年10月27日付日経新聞の社説では「・・・原資産のサブプライムローンの焦げ付きが想定を超え、格付けが大幅に変更されると理論価格に狂いが生じて買い手がなくなった。資金繰りに窮した金融機関の投げ売り価格は極端に低く、時価評価すれば評価損の膨らみが生じ、投げ売りすれば強硬相場に拍車がかかる。

 時価評価の凍結はこうした悪循環を回避する便法だが・・・時価会計を凍結しても経営実態は変わらなく市場の不信を高めるだけだとの批判はもっともだが「理外の理」で独自の政治的判断もありうる・・・米国金融安定化法はアメリカ証券取引委員会に異常事態への緊急避難措置として、時価会計凍結の権限を与えた。・・・欧州連合が採用する国際会計基準審議会は金融商品の保有目的の変更を禁じたルールをアメリカに見習った。・・・日本も同じく右へ倣えと進むだろう・・・会計は経営実態を表現する道具だが、万能ではない」と述べられています。