いよいよ春爛漫。年年歳歳、桜並木が春を誘いますがご縁のある皆様はいかがお過ごしでしょうか。今の私の関心事は人生100年時代を迎え、もし、認知症となった時の対応だけは気になるところです。

事業承継・相続に際しては通常4つの処方箋があります。第一に親族へ、第二に従業員へ、第三にM&Aにより他人へ譲渡する、第四に信託を利用する方法があります。
主題の“信託”は最近注目を浴びている手法であり、急速な高齢化社会の到来を背景に老人が安心して生活を送る為には後見制度に見られるような適切な財産管理・遺産相続における遺言の補足的な役割をも担う信託が利用されだしました。そして、新たな投資・金融スキーム(仕組みがある計画)への高まりもあり、従来の信託法が大きく改正され、平成19年9月30日より施行されました。

“信託(trust)”とは、イギリスで発生した制度で「信用・信頼・信頼できる人物」と云う意味です。医者と患者、弁護士と依頼者のように、必ずしも平等な立場にない者の間に締結されるのが「信じて託す」と云う関係です。
“信託”を利用する場合、信託契約には次の3名が登場します。

@委託者→信託をする人。
A受託者→財産の管理運営等の行為をすべき義務を負う人。
B受益者→利益を受ける人。
 
 この3名は同一人が2つの役割を兼ねてもよく、資産家が自己を委託者として、所有財産を信託とします。自己が生存中は自分自身が受益者となり、自己の死後は相続人が受益者となるというような利用方法です。また、“信託”には種々なメリットが考えられます。例えば

@専門家の活用→専門知識を持つ者を受託者とする信託。
A倒産隔離が可能→委託者の倒産からも、受託者の倒産からも財産が隔離される。
B優良資産の切り分け→所有資産を信託して、自己から切り離す等。
 
 このABは大きなメリットと考えられます。信託目的の所有権の移転では登録免許税・不動産取得税が非課税であり、ただ、信託設定として評価額の0.4%の登録免許税が原則課税されますが、信託が不動産登記上非課税で他人名義に出来る点は注目すべきでしょう。 
 しかし“信託”を利用する場合、課税関係を理解せず、信託と云う手法を利用することは出来ません。また、相続・贈与等の節税効果は現在のところ日本では困難なようです。
我々も“信託”を利用する場合、実務上もその道の専門家・学者等の意見を参考に慎重に対処しているのが現実の姿です。

最後に昨年3月号ニュース“家族財産簿(貸借対照表)作成のお勧め”に記しましたように、“家族財産簿”の作成をライフワークとしたいと思っておりますが、“家族財産簿”と同等な現在静かなブームである“もしもノート”(もしもの時に備え、家族に知らせておくべき事柄・売価500円程度)の作成をお勧めします。

以上
税理士法人マークス代表社員 植村祐三