代表社員 植村祐三

 日本は、ケインズの云う安楽死理論を参考にするまでもなく、我が国のインフレ政策は有効需要を伴わない限り、簡単には達成出来ない経済環境があります。

NHKが長寿・高齢化社会に注目し、スペシャル取材班による『シリーズ老人漂流社会』に関連して“老後親子破産”という書物を出版したので、その内容の一端を紹介し、多少の私見を述べてみます。

現場ルポによる生々しい映像を通し、我が国の過酷で悲惨で不条理な姿を示し、現代社会が医療技術の発展により、ひと昔前なら死すべき命も、事前発見・その経過診断による延命措置により寿命が延びる。
 
 多少の貯えがあっても、人生100歳迄も生かされるとすれば、一人暮らしの高齢者は定年等により、自分の収入だけで生活をして行かねばならず、年金等だけでは医療や介護さえ、十分に受けられない高齢者が増加し続けている。
 親の介護が理由で仕事を辞め、同居した中高年の人達が、親の年金で介護を続けるうちに「老後破産」となるケース、非正規で働く子供が自立できず、中年になっても親と同居するケース、高齢の親が働かざるを得ないケース等に対し、放映後に同感文面がNHKホームページに多く寄せられた。「老後破産」に追い詰められると異口同音に“死にたい”とも訴える。

また、地方ではフリーターが中高年となって、失業等で田舎へ帰り、年老いた両親の介護をきっかけに“引きこもり”となり、親子共倒れとなるケースもあり、親子同居世帯に広がる新たな「老後破産」が多くなって来た。また、親と同居し、高齢者が生活保護を受けている場合、医療費免除・生活費補助も受けられるが、息子に収入があれば、世帯収入が生活保護水準を上回ると判断されると生活保護は受けられない。 
現在、非正規で働く人は、雇用全体の40%弱の約2,000万人だそうです。今後、年金で暮らす親と非正規で働く子供という組み合わせの増加がさらに見込まれるという。

 では、寿命100歳時代を想定し、「老後をどう生きるか!」。まず、自己責任において難題に挑戦する以外にはない。
インド・モア首相が提唱したヨーガ・アーユルベーダ省の設置を参考に、薬漬けではない、開運の基である食事を整え、自己健康法を編み出し、定年後はのんびり暮らすような幻想はきっぱり諦め、健康である限り75歳位までは働く覚悟が必要な我が国の現状認識が必要でしょう。

また、日本の家族の在り方が激変しており、まじめに働いても、生活保護水準以下の暮らししか出来ない人達の増加や、同居する子供の収入が働けば働くほど生活保護基準をオーバーして生活保護費が削られる。
また、介護の為に仕事を退職・転職する人は年間約10万人であり、親子共倒れが3代にわたって連鎖しかねない。また、一人暮らし高齢者は既に600万人に上ると云う。

団塊の世代が75歳となる10年後には介護現場は逼迫することが確実に予測され、80歳後半以上になる高齢者の介護負担というリスクを背負っている世帯が多くなる。自らが高齢者でありながら親の介護負担を背負うことになる。
共働きの人々の介護と仕事の両立は、並大抵ではないことが容易に想像出来、本書を一読して、ただ事では済まされない危機意識を再認識させられました。