代表社員 福田 重実

10月になると、そろそろ生命保険の控除証明書が送付されてきます。これを見ると年末調整のことを考えるようになりますね。
 年末調整を含め、所得税で配偶者の控除が数年前から複雑になってきていますので、改めて紹介したいと思います。
@103万円の壁
妻の給与の年収が103万円以下だと配偶者控除を受けられ、夫の所得税及び住民税が少なくなります。但し、夫の所得が900万円超1,000万円以下の場合、は配偶者控除額が減額され1,000万円超になると配偶者控除額は0円になります。1,000万円超は配偶者控除を受けられないことになります。この場合、夫の所得で配偶者控除を受けないで、お子様に所得があるのであればその扶養に入れるもの1つの方法だと思います。

配偶者控除の金額
納税者本人の
合計所得金額
所得税住民税
一般控除額老人控除額一般控除額老人控除額
900万円以下38万円48万円33万円38万円
900万円超
950万円以下
26万円32万円22万円26万円
950万円超
1,000万円以下
13万円16万円11万円13万円
1,000万円超0000
  ※老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在の年齢70歳以上の者

A201万円の壁
妻の給与収入が103万円超201万円以下の場合は、配偶者特別控除が受けられます。
これも妻の年収により、その金額は減少します。

B100万円の壁
妻の給与の年収が100万円を超えると、妻に住民税が課税されます。
給与収入100万円−55万円=45万円住民税の非課税

C130万円の壁
妻の年収が130万円超になると社会保険料の扶養から外れることになり、妻が自分で国民健康保険と国民年金を支払うことになります。 年収130万円を超える場合は、社会保険料の負担増と夫の収入を考えると年収155万円超にならないと世帯収入が減少します。

夫婦間の資産税制
1.贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与は課税価格から2,000万円控除されます。 (居住用財産の価額−贈与税の配偶者控除−110万円)<0 居住用不動産の価格は、相続税評価額(土地は路線価、建物は固定資産税評価額)になります。 つまり金銭で贈与するより住宅を取得後この適用を受けた方が有利です。

注意点
@婚姻期間20年  婚姻届の日から居住用財産の贈与日までになります。1年未満の端数は切り捨てになります。

A贈与を受けた日の翌年3月15日までに居住のように供し、その後も引き続き居住の用に供する見込みであること。
居住用財産の譲渡は、3,000万円控除があります。将来売却するとき、夫婦共有であれば最大6,000 万円の控除を受けることが可能です。短期間でこの控除目的での贈与は否認されることがあります。

B同一配偶者間においては、一生に一回限りです。つまり、婚姻期間が40年であっても2回 贈与はできません。

C贈与税が0円であっても、贈与の翌年3月15日までにこの適用を受けるために申告する必要があります。

D所有権移転をしますので、登記代及び不動産取得税は課税されます。

2.相続税の配偶者控除
「夫婦は一緒に助け合って生活をしてお互いが財産を作るために大きな役割を果たしている」という趣旨から、相続税の配偶者控除があります。

 配偶者は、法定相続分であれば配偶者の相続税が控除されます。
 また法定相続分を超えても1億6千万円分の純財産を相続しても配偶者の相続税は課税されません。
 下記のようになります。   純財産が1億6千万円以下・・・配偶者が全て財産を取得すれば相続税は0円
  純財産の2分の1を配偶者が取得すれば配偶者の相続税は0円
    純財産=財産−債務−葬式費用