今月は阿倍野区で日本語学校を展開されている株式会社文林学院様をご紹介致します。
こちらは平成22年7月にご紹介させて頂いた永田産業株式会社様と同じ永田グループの会社です。


永田グループは昭和25年、大阪市阿倍野区で菓子食品類の卸売業として始まり、昭和38年に株式会社永田商店、昭和45年に株式会社永田チェーン、昭和46年に永田産業株式会社を設立。そして昭和63年に日本語専修学院を設立し、平成2年日本語教育振興協会の認定を受けて現在の株式会社文林学院となりました。また昭和52年、現在文林学院校舎にもなっている6階建ての本社ビルが完成、昭和60年には研修や懇親会に利用できる保養所施設を奈良県高市郡明日香村に開設されました。

人の繋がりを大切にされる永田グループでは、グループ会長の永田秀夫様が文林学院理事長、そして永田産業且ミ長永田秀次様の高校時代の恩師でもある岸仲徹様が学院長を務めていらっしゃいます。

46人中45人が中国からの生徒という文林学院では、中国浙江万里学院(せっこうばんりがくいん)と提携し、毎年1度、同校で日本語講師として活躍されている中国人の先生を招いて交流を深めています。

お邪魔した日は3名の中国人の先生を囲んで、お食事会が開かれていました。


理事長は「原発事故などで騒がれる中での来日は本当に嬉しい。日本の、大阪の良いところを沢山見て帰り、生徒さんに伝えて下さい。」と大変喜んでいらっしゃいました。

府立高校の校長などを歴任された後、文林学院の学院長に就任された岸仲先生は「文林学院の仕事は日中関係の向上に関わる、日本の将来に大事な仕事。今の中国は日本の侵略戦争に対する反戦教育を受けており、日本について良いイメージを持っていない人も少なくないと思う。そのような中で来日してくれた留学生には、日本語の授業や文林学院の教師等とのコミュニケーションや日本での生活を通じて、日本語の習得だけでなく、日本の良いところも悪いところも感じ、ありのままの日本を知って貰いたい。」とおっしゃっていました。また「実際に日本での学生生活を経験された学生が「日本に来て本当に良かった。」と言ってくれることが何より嬉しい。」とも語っておられました。

また「学生を甘やかすのではなく、1人1人を大切にすることが何より大切。大変なことも沢山あるけれど、教育者はしんどい時に逃げてはいけない。教育は奉仕の精神が必要。」と語る、根っからの教育者です。日本語学校としての規模はさほど大きくありませんが、家庭的で非常に温かい学校でした。

基本は2年間の授業で、現在は初級、中級、上級の3クラスがあるのですが、この日は全てのクラスを少しずつ見学させて頂きました。

まずこちらは4月に来日したばかりの生徒さん達のクラスです。

来日当初は平仮名、カタカナが読める程度だったそうですが、この日の授業では『〜として』の用法の勉強で『上野公園は桜の名所として有名です』などという難しい文章を読んで発話し、更には「上野公園の場所はわかる?そう、東京です。大阪の桜の名所は知っていますか?そう、大阪城公園とか色々あるね。」とどんどん発展。「名所」という難しい単語や様々な地名を理解されていることに驚きました。

こちらは来日二年目の生徒さん中心のクラス。

コンビニについての授業だったのですが、先生が「コンビニで何ができるか知っていますか?」と尋ねると、「買い物」「お金(公共料金など)の支払い」「コピー」「宅配」「トイレ」などと積極的に意見が飛び交っていました。

また「本を読める」と答えた生徒さんに「確かに読めるけど、コンビニは本を読む場所では無い。本当は読んじゃいけないんだよ。写メ、携帯電話で写真を撮ってもダメです。」と先生が生活ルールを指導する場面もありました。

こちらは卒業間近のクラスです。

この日は岸仲学院長のご友人で、府立高校の校長先生を退職後、中国に渡り、大学で日本語教師として活躍している石井先生をお招きし、特別授業が行われていました。

 「初志貫徹」など難しい日本語の講演内容でしたが、皆さんしっかり理解されていました。それもそのはず、このクラスの皆さんは日本語検定1級という最高レベル。文林学院卒業後は日本の大学に進学される方も沢山いらっしゃるそうです。

岸仲学院長をはじめ、先生方の熱い指導を受けて文林学院を卒業された皆さんは、きっと日本と中国の掛け橋となって下さることでしょう。皆さまのご活躍をお祈り致しております。

(担当:花谷/取材:花谷・鈴木)


日本語学校 文林学院
大阪市阿倍野区王寺町1-5-20
http://www.nagata-g.co.jp/bunrin/index.html