代表社員 福田 重実

 2月に入ると所得税・贈与税の確定申告がスタートします。これから5月末までが当事務所の一番の繁忙期になります。
 所得税の申告に於いて青色申告制度があります。今回は青色申告制度についてご紹介したいと思います。個人が一定水準の記帳(概ね複式簿記)をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。

青色申告をすることができる人は、事業所得、不動産所得、山林所得のある人です。
一定水準の記帳を義務とする代わりに青色申告には特典があります。この青色申告の特典のうち主なものについて説明します。
@青色申告特別控除  不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、一般的には複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することとされています。 また、それ以外の青色申告者(貸借対照表を添付しない者)については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円を控除することとされています。

A青色事業専従者給与  青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
 なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

B貸倒引当金  事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額が5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。
 なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが(個別評価)、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。

C純損失の繰越しと繰戻し  事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間に渡って繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

D少額減価償却資産の特例  1台当たり30万円未満の資産を購入した場合はその全額を費用処理することができます。但し年間の合計が300万円までになります。

E特別償却  青色申告者が一定の機械等を取得した場合には、通常の減価償却費に加え、その機械等の取得価額の30%と特別償却費を計上することができます。

F生産性向上設備を取得した場合の即時償却
青色申告者が一定の機械等を平成29年3月31日までに取得し、指定事業の用に供した場合には、その機械等の取得費の全額を即時償却(全額が必要経費)又はその取得価額の10%の税額控除をすることができます。

青色申告の手続き
(1)原則
 新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出します。

(2)新規開業した場合(その年の1月16日以降に新規に業務を開始した場合)
 業務を開始した日から2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出します。

(3)相続により業務を承継した場合
 その年の1月16日以降に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出します。しかし、青色申告をしていた被相続人の業務を承継した場合は、被相続人の死亡による準確定申告書の提出期限である相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内(ただし、その期限が、青色申告の承認があったとみなされる日以降に到来するときは、その日)までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

帳簿の保存
青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。
 これらの帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。

マークスでは個人の確定申告時に青色申告可能な方には青色承認申請を行っています。また複式簿記(TKCの会計ソフト等を利用している場合)で記帳できる方には65万円控除を行っています