工藤 敦子

 10月に入っても30度を超える夏日が続き、日本の四季はどこにいったのかと思うくらいの暑さでしたが、急に秋めいてきました。
「〜の秋」とよく表現されますが、その中のひとつ「スポーツの秋」といわれる所以は東京オリンピックがきっかけだそうです。

スポーツといえば今、ラグビーが熱い!
こんなにラグビーファンが多かったのかと驚くくらいですが、もしかしたら実は私のように少し前に放送されていた「ノーサイドゲーム」というテレビドラマを見て、興味を持ち観戦している人も少なからずいるのではないでしょうか?池井戸潤氏のドラマの為の書き下ろしだったようです。また、自国開催ということからか情報番組で多く取り上げ、ルール等を周知し盛り上げていった関係者の戦略も功を奏したのかもしれません。

 15人全員で守り、全員で攻める陣取りスポーツで、ボールを前に投げてはいけない、ボールを前に落としてはいけない、ボールを前に蹴るのはよいなどのルールがあります。そして何よりも格闘技のような激しさの中に「常に紳士たれ」「卑怯なことはしてはいけない」という精神が根底にある戦略戦術が魅力のスポーツです。

もちろん試合自体のすばらしさもさることながら、『スリーサイドの精神』 『3つのF』というラグビー精神が、学校や家庭や社会の中の自分におきかえて、共感できる言葉がたくさんあることも魅力のひとつなのではないかと思います。

余談ですがプロ野球の巨人では紳士の球団として原則「禁止」、サッカー日本代表では、さわやかなイメージを損なわないように「禁止にはしていないがあまりふさわしくない」とされる選手のヒゲですが、ラグビー界では相手選手を威圧するため、ヒゲをたくわえて強そうな風貌に見せることが重要な要素とされているそうで、過去にはヒゲを濃くするために使用した育毛剤で禁止薬物成分が検出され、資格停止処分を受けた選手もいるとか。

『スリーサイドの精神』
「One Sideの精神」 
ルールを厳守する
「No Sideの精神」 
試合が終われば陣地も、敵・味方の区別もなくお互いに健闘を称えあう
「For The Sideの精神」
チームのために自己犠牲をいとわない
 
試合終了時、ほかのスポーツでは「ゲームセット」や「タイムアップ」と言いますが、ラグビーでは、この中のひとつ「ノーサイド(no side)」が、「フルタイム」という言葉にかえて使われています。

『3つのF』
「Fight」    
 闘志 ベストを尽くす
「Friendship」
友情 強力なチームワーク
「Fair Play」  
公正 反則をせず、判定には従う


最後に広く知られている
「One for all, All for one」
「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」

 今年は子供や老人・未来ある若者が犠牲になる事件や事故が多くありました。また、あおり運転に関するニュースも後を絶ちません。
そんな中での勇気ある選手たちのさわやかな姿が、皆の心を惹きつけているように思います。
試合前、東日本大震災の犠牲者や台風の犠牲者に黙とうをささげる場面がありました。カナダの代表選手は台風で試合が中止になりましたが、「ラグビーよりも大切なことがあります」と被害を受けた岩手県釜石市で復興支援のボランティアに参加されていました。
 今回の台風は、会社の取引先がある、友人や知人の近親者がいる、旅行で訪れたことがあるなど、その地に誰もが多少の縁があり心を痛める事態です。被災地の一日も早い復興を心よりお祈りします。