神普@裕子

 新型コロナウイルスが落ち着くのはまだ時間が掛かりそうですが、この生活にも慣れて来つつあるように感じます。中でもマスクを付ける習慣は一般化し、今や常識となりました。「コロナ禍の前は考えられなかったこういう暮らしは、私たちにどんな影響を与えているのだろう」と、ふと考えることがあります。
 
 コロナ渦になってから知り合いになった方がお茶を飲むときに初めて口元が見え、想像していた顔と違ったので少し驚き、「勝手に想像を膨らませていたんだ」と心の中でクスッとした事がありました。
 マスクというのは、ある意味最強であると思います。休日に近所のスーパーに行くときなどは、感染予防を装ってほぼノーメイクでマスクを着けて行く手抜きコーデ等は重宝しています。時短になるし、ずぼらな私は面倒がなくていいですし、女性にとってメイクに費やす時間というのは短くなく、一生分に換算すると膨大な時間になると思うからです。しかし、今年になって私はマスクで肌荒れを起こしてしまい、良くない一面も実感し、使う時間帯や使用頻度や材質については自身で改善の余地があるように感じました。

 マスクには、様々なメリットとデメリットがありますが、面と向かって話していても、相手の表情が読み取りづらい事もあり、そこは不便であると私は感じます。聞くところによると、マスクで顔が見えないことが、子供の脳の発達にも影響を与える可能性があることが明らかになったらしいです。これが本当の事なら恐ろしい話であり、たかがマスクと侮ってはいられません。
しかし、最近の私の経験ですが、10日に1度くらいの頻度で1歳児の赤ちゃんに会う機会があった時、「ん?だれ?」というような表情で私の顔をじっと見詰め、5秒位はノーリアクションが続き、私が名前を呼ぶと、声と見えている部分で誰であるかを判断していました。
本来であれば全体の顔ですぐに認識できるはずでしょうけど、マスクをしている事で時間が掛かかっていました。きっと赤ちゃんは、外に出るとみんながマスクをしているこの事態を、当たり前だと思っているに違いないし、そもそも赤ちゃんの頭脳はとても柔軟で、生まれたときから皆がマスクを着けた顔しか知らないので、本当にそれが自然だと思っていることでしょう。適応能力が高い赤ちゃんの脳は、大人よりも柔軟に適応していくかもしれませんね。

 マスク生活の例を色々上げてきましたが、本当に今はマスクが必需品で、日々の暮らしに欠かすことのできない物になってしまっています。不便なことも多いですが、今はとにかく効果が完全でなくても着けるしかない。嫌だと言っても感染することは避けたいし、他人に感染させても大変なことになってしまう。最近では色々な変異種も確認されており、予断を許さない状況は依然として続いています。
 
 このままの状態が続くと、顔全体が見えないことで人間のコミュニケーション能力は低下していくことが予想され、表情筋も衰えやすくなり、顔が老ける原因にもなりそうです。人類がかつて直面したことのない巨大な脅威は、私たちに一体何を教えようとしているのでしょうか。
日々の自粛生活で皆、かなり疲弊しているし、心もとても弱っていると思います。テレビでは連日コロナウイルスのニュースを繰り返し報道していて、本当に心を折られてしまう人も多いでしょう。
こんなときだからこそ、笑顔で接することを心掛け、明るい表情が戻る日まで頑張ろうと思うこの頃です。