長谷川 晋也

うららかな春の日差しが心地よい季節となりました。毎年この時期になると母校関西大学で行われるスプリングフェスティバルにて満開の桜を見ることが我が家の行事となっているのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止になってしまいました。この新型コロナウイルスの影響は、現時点では終結の糸口が見えず、日本経済にとっては、非常に悪い影響を生むことが想定されます。しかし、悪影響ばかりを考えていても気持ちが沈む一方ですので、発想の逆転で、こんな時だからこそ出来ること、こんな時だから試せることを考えてみては如何でしょうか?

そんな中、最近よくニュース等で耳にするのがテレワークです。テレワークという言葉は聞いたことはあったものの、実際どのように運用出来るか、私自身が行うことが出来るのかとは考えてみたことがなかったので、今回少し考えてみることにしました。

テレワークとは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で1970年代に、アメリカのロサンゼルス周辺で、エネルギー危機とマイカー通勤による大気汚染の緩和を目的として始められ、その後1980年代前半に、パソコンの普及と女性の社会への進出に伴い、注目されるようになったのが由来のようです。

 このテレワークの最大の特徴としては、「職場など一定の場所に縛られずにどこでも仕事ができる」ことであり、今回のような新型コロナウイルスの感染対策に非常に効果的であると思います。また、一定の場所に縛られないということは、通勤時間帯の交通渋滞などの都市問題や育児・介護等の社会問題解決の手段として有効であると期待されています。また、経営者にとっては経費削減、労働者にとっては労働の裁量権が得られることにより、自分の都合にあわせて働けるなどの利点があります。

しかし、テレワークには多くの問題点が指摘されています。全てのテレワークに共通することとしては、労働時間が長期化しやすい傾向があると言うことです。「どこでも仕事ができる」は、「どこでも仕事をしなければならない」に容易に置き換わります。また、テレワーカーに裁量権があるといってもそれは限定的なもので、テレワーカーにはノルマ(仕事量)を決める権限は無く、ノルマは勤め先など外部が決定することになり、仕事量と労働時間とのバランスの決定が非常に難しくなります。結果、在宅勤務を導入している企業においては、「○時から○時までは仕事をしろ」といったように、時間拘束を行っている事例もあるようです。この点を解消しようと請負制にすると、HP・CGの作成などの技能を必要とする仕事であれば単価が高いが、データ入力・アドレス収集といった技能を必要としない仕事の場合、単価が低い傾向にあり結果、収入が減少するということも起こりうります。

現状、政府はテレワークを推奨しているようですが、調べてみた感想としては、我々のようなサービス業は運用方法さえ確立してしまえば、実行することは可能かとは思いましたが、クライアント様に置き換えると現状テレワークを実行出来る会社さんは2割くらいしかないと言うのが実感です。しかし、昨今問題になっている育児・介護等による社会離脱を抑止するための政策としては、一つの選択肢にはなりうる興味深い仕組みだとは感じました。優秀な従業員さんを離脱させない為の予防線として一度、自社ではどのような事ができるかと、考えてみるのは如何でしょうか?