西野 信宏

2020年5月25日に非常事態宣言が解除され、2ヵ月が経ちました。一旦落ち着いた感染者数も徐々に増加しており、まだまだ安心にはほど遠い状態です。みなさまはアフターコロナをどのように過ごされていますでしょうか?

非常事態宣言中は在宅勤務が推奨され、実施された会社様も多かったかと思います。
マークスでは在宅勤務を基本とし、事務所への出勤回数を出来る限り減らすようにして対応していました。自宅から直接クライアント様へ訪問し、移動時の感染リスクを減らすようにしました。

各企業様で在宅勤務の対応は様々ですが、大きな企業でも対応が分かれています。
伊藤忠商事では非常事態宣言解除後は、生産性維持の難しさや取引先との関わりを理由として在宅勤務を解除しています。一方で日立製作所は、緊急事態宣言解除後も新常態(ニューノーマル)を見据え、在宅勤務活用を標準とした働き方を推進するとして継続をしています。

 このように、在宅勤務に対して様々な対応があるなかで、在宅勤務のメリット・デメリットも明らかになってきました。
メリットは、通勤時間がなくなり時間が有効活用できることや、それぞれの家庭の事情にあわせた柔軟な働き方が可能になること。これに伴い優秀な人材を確保することにつながります。次にデメリットとしては、自宅で仕事をしていると、プライベートとの切替えが難しく長時間勤務につながってしまうことがあります。また、社員同士のコミュニケーションが不足してしまうことや、勤務に対する評価が難しくなるという点が挙げられます。

在宅勤務を続けていくためには、在宅勤務での働き・成果を適切に評価するということが非常に重要になります。そこで在宅勤務の広がりに伴い、ジョブ型雇用の導入に関心が高まっています。
ジョブ型雇用とは、その人自身の能力が重要視される雇用形態です。その職務に必要とされる能力を詳細に記述した「職務定義書」(ジョブディスクリプション)を用いることに特徴があり、欧米などでは一般的な雇用形態です。
企業が求める能力が明確であり、仕事に必要な能力を持った人材を募集するため、それぞれの仕事に最適な人材を配置することができ、生産性を高めることが可能とされています。また職務定義書を基準に成果を検討するため評価が判断しやすいとされます。

これに対して、日本はメンバーシップ型の雇用が主流となっています。職務を限定せず広く人材を採用し、仕事の範囲は総合的です。終身雇用を前提として、企業がゼロから人材を育てるのに適したシステムです。 
どちらの雇用形態が優れているということではありませんが、ジョブ型雇用は成果の基準がはっきりしており、在宅勤務と相性がよく今後も広がっていくとされています。これに伴い労働者自身が、自分自身のキャリアをどのように築くかを主体的に考え、働き方を選択する時代が来ることになると思います。また企業側からは、優秀な人材を採用するために適正な評価方法の採用や、在宅勤務への対応が求められるかと思います。

今回の非常事態宣言によって、我々の働き方にも大きな影響がありました。これをきっかけに働き方がどのように変化していくか、今後も注目していきたいと思います。