長谷川晋也

今年も早いもので、残すところあと1ヶ月余りになってまいりました。1年を振返りますと、昨年末からのアベノミクスによる円安・株高の継続、富士山の世界遺産登録、2020年東京オリンピック開催決定、プロ野球では田中将大投手の連勝記録やバレンティン選手のホームラン記録の更新、また、大阪ではグランフロント大阪の開業と、近年では比較的明るい話題が多い1年ではなかったでしょうか。
そんな2013年、皆様、もうやり残したことはございませんか?全くないという方は、充実した素敵な1年だったことと思います。しかし、多くの方はそう言われれば…と、1つ2つ頭に浮かんだのではないでしょうか。私自身が頭に浮かんだのは、上場株式の売却を年内におこなうかどうかです。なぜなら、2014年から株式等の売却益に対する税金が2倍になる為です。今回は、そんな株式税制の変更について少しお話しさせて頂こうと思います。

最近よく新聞やテレビCMで宣伝されているNISA(正式には非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)と言うものをご存知でしょうか?これは、2014年より開始される新制度で、新たに証券会社等で株式売買の為の口座を開設し、その開設した口座内で行った年間100万円までの投資総額に対して発生した上場株式等の配当や売買に伴う利益に対する税金を無税にするという制度です。個人投資家にとっては、非常にメリットのある制度で私も口座開設の予定です。

しかし、この制度の創設の反面、2013年に廃止される制度があります。それは、上場株式等の配当・譲渡等に対する軽減税率の廃止です。この制度の廃止により、個人投資家が上場株式等の保有に伴い受取る配当や上場株式等を売却した際に発生する譲渡益に対して課税される税率は現行の10.147%(所得税7.147%・住民税3%)から、20.315%(所得税15.315%・住民税5%)となり、仮に10万円株で儲かったとするのならば、2013年中に売却すれば税金が約1万円であるのに対し、2014年以降であれば税金が約2万円となり、同じ売却を行っても2014年以降の売却であれば2013年中に売却するのに比べ2倍の税金を支払わなくてはならないといけないと言うことになります。

この増税は、消費税の増税に隠れて余り知られてはいないのですが、以上のような制度変更があるという事を知って頂いて、上場株式をお持ちの皆様は、私と同様に12月中に1度お持ちの株式の株価を確認されてみて、売却するかどうかの検討をされてみてはいかがでしょうか?もしかしたら、今年中に対応した方が有利な株が出てくるかもしれません。そんなの知らなかったと、後で後悔する事の無いようにして頂ければ幸いです。

参考ですが、2002年末にも株式税制の大幅変更がありました。この時は、個人投資家の売却圧力が強まったという過去があります。この経験則により一部市場関係者は、年末にかけて個人投資家の株式売却に伴う株価の下落に警戒感を募らせているとの事です。個人的にも年末にかけては、株価は下がると思っております。しかし、株価が上がるか下がるかは誰にも分りません。皆様、賢明な判断をされ良き新年をお迎え下さい。