代表社員 植村祐三

 昨年末、アニメ映画など見たこともなかったが、ふと目に留ったタイトルに惹かれて若かりし頃、空前のブームを呼んだ“君の名は”の後宮春樹(佐田啓二)と氏家真智子(岸恵子)が、空襲の夜、東京・数寄屋橋で半年後の再開を約束して、名も告げず別れた白いショールを巻いた真智子のラブストーリーを思い出しながらこの映画を見ました。

このアニメは昔見た内容と全く異なり、天体宇宙と宗教をバックに、高校生の男女が入れ替わると言う恋愛物語で、平成28年度ナンバーワンの売上で200億円を超えており、現在、中国で大ヒットしているようです。
また、“君の名は”に引継続き“この世界の片隅に”が11月に公開され、平成28年度日本映画1位にランクされている。

この舞台は太平洋戦争末期の呉・広島であり、監督は当時の状況を徹底に調べ、主役である18歳妻すずの夫婦が段々畑から“戦艦大和”を眺める入港当日の天候を正確に調べたという。
当時の呉の日常生活と西日本一の遊郭の存在・町並みを精緻に表現、自然と生活と広島弁による会話、戦争の悲惨さは普通の家庭・友人・故郷・夢を奪っていく姿を実感した戦争体験者が減り、若い世代が戦争の悲惨さを日常の目線で理解する為にこの作品は意味があろう。

“この世界の片隅に”を見て、当時の情景が目に浮かび、私は呉の町に行ったことがなかったので1月7日、日帰りで呉・江田島・広島市に行ってきました。
呉市は全焼状態から復興して、2005年に開館した「海事歴史科学館」(別名大和ミュージアム)内に戦艦大和の実物10分の1サイズの模型が展示され見応えがあり、軍事技術・戦争を美化しているという批判も頷ける。
また、呉の前面には江田島があり、世界三大士官学校である「海軍兵学校・現海上自衛隊第1技術学校」があり、爆撃を全く受けておらず、現在も昔の儘の威厳を保っていた。呉の「海事歴史科学館」と共に、素晴らしい内容だった。
これに引換え、広島・平和記念公園の世界遺産である原爆ドーム(広島平和記念碑)、広島平和記念資料館等の内容は戦争の惨忍さの風化状態を表しているかのように感じた。この点は、世界平和の礎として日本国家の威信にかけ、世界に強くアピールする必要があると強く感じた。

江田島には一時住んだことがあり、段々畑より、海に貨物船が赤い腹を見せ沈没しており、港に“巡洋戦艦・榛名”の大砲2門が空に向け海面より突き出ていた。軍港だったからか、岸壁からはスズキ等の魚が悠然と泳いでいるのが見えた。子供だったので釣れるのはフグ・サヨリしか釣れなかった。今では山は雑木林に覆われて、段々畑の姿はなかった。
アニメ“宇宙戦艦大和”はイスカンダルへ原爆除去装置を取りに行く物語。
私は広島で8歳の時、被爆体験があり、今でも鮮明に当時の情景が脳裏に焼き付いており、一生、忘れることは出来ない。
便所の奥まった処に居たとき、突然、ピシャーという閃光が走り、一瞬、空白状態、ドーンという音響とともに校舎が飛び上がったように感じ、学校に爆弾が落ちたと思った。
20歳前後には、体重45キロ、血便・鼻血は出る、目は霞む、極度の精神状態となり、数度死線を彷徨った。しかし、10歳ごろ梅干しを多量に食べたことが、今日まで生かされた原因かも知れません。