ジャーナリスト 桜井よしこ
日本創新党 党首 山田 宏 ―

 主題の講演会が11月13日於南御堂 御堂会館、約1千名が参集して行われました。南御堂は芭蕉の臨終の地であり、辞世句と云われている“旅に病んでゆめは枯野をかけまわる”の句碑がり、芭蕉は私が住む都祁の里近くの三重県上野市に生まれ、高校同級生に俳人佐久間慧子さんという新人賞(直木賞に相当)をもらった人がおり、私も落ちこぼれの3人の一人だとけなされながらも俳句をたしなんでおります。

桜井よしこさんの講演内容
桜井さんはハワイ州立大学歴史学部出身、歴史に造詣が深く吉永小百合さんと同じ年、奥ゆかしさを秘めたヤマトナデシコというイメージですが、現在、石原慎太郎を始め錚々たるメンバーを擁する「国家基本問題研究所」の理事長であり、世界に通用する論客で講演会後の懇親会へも出席されました。

講演内容の一端を述べれば、中国は14億人の生存資源確保のために60年という長期的思考により、
(1)世論作戦(2)法律作戦(3)心理作戦という、3つの戦略に基づき行動をし、軍事力を背景に台湾・東南アジア諸国を威圧している現実があると語られた。

正にテレビでのトカラ列島で日本の海上保安庁調査船を追いまわし、衝突を仕掛けるような姿を垣間見るとき、また、一方北方領土へのロシア首相の訪問、国家なきユダヤ民族の苦難な歴史を思うに、本当に我が国存亡の危機が迫っていると考えます。

講演後、旭屋に立ち寄り、“中国はなぜ「軍拡」「膨張」「恫喝」をやめないのか その侵略的構造を解明する”22年10月30日初版、編者 桜井よしこ・北村 稔、国家基本問題研究所、文芸春秋社出版、その序論 対中国「大戦略」構築のために(桜井担当文)、を一読すると本講演の内容を詳細に補足してありました。

本書は現在日本が変化に対応し生き残って行く戦略が欠けているとの危機感ゆえの意見表明でした。トカラ諸島問題を巡る中国の主張はチベットに対する手法と同じであり、南シナ海で東南アジア諸国から多くの島を奪い自国領土としつつある手法と同じであり、日本大使仁羽一郎氏を中国外務省に呼びつけ、1909年当時248人の日本人が暮らしていたトカラ諸島を中国領土と決めつけ、深夜の非礼の抗議をする。

中国は1992年東シナ海と西・南諸島・トカラ諸島も全て中国領だと宣言する領土法を作った。中国外交の基本型は変わらず、軍事力を背景に相手を屈服させる。トカラ列島の日本外交の実相は敗戦を機に急速に薄れて行った国家意識の欠落の産物であり、小さな妥協から国家基盤が蝕まれ始め、領土も奪われる。文明文化も衰えて行く、今、日本が何をなすべきかを悟らねばならない。と云う警告の書であり、我々も何がしかの行動をしなければと思いに迫られる本書の内容でした。

以上


山田 宏氏の講話内容
山田 宏氏(京大卒・52歳)は現在日本創新党 党首である。日本創新党は主に現・元地方首長・議員によって構成され、松下政経塾の影響を受けた主要メンバーにより本年4月に結党し、5月の参院選に公認候補10名により挑んだが、あまりにも急性に事を運んだので、地道な努力・準備不足のために全員落選の憂き目を見た。しかしながら、講演の内容は東京都杉並区(約54万人)長として、行政改革の実績をベースに話をされたこともあり、大変感銘を受けました。

わが国の地方自治体改革をすべきであるとの認識から、大阪・橋下知事に見られるように地方から我が国を根本的に見直す大きな波が発生している姿を見る思いでした。

講演の内容(講演会場で販売「日本よい国構想」山田 宏著・第6章杉並区改革から「自由で力強い日本」を、より補足)は杉並区長就任当時(1999年)、約900億円の区債を抱え、貯金20億円程度の財政危機状態を自ら給与一部カットをし、区職員1千人削減計画案により以降9年間で達成、その結果平成23年度には完済予定であり、一方、平成21年度には貯金219億円になったという。ある自治体経営ランキング調査によると2004年度全国1位であつた。

また、山田氏は“教育は人なり”の理念を掲げ、会田雄次京大教授が昭和30年代に学生に語った言葉「君たちが大人になる時代が一番心配である。なぜなら君たちには三つの大事な教育がなされていない。それは、宗教心、道徳、歴史だ。この三つの教育が全く欠けていて、大人になった時には浮き草のような、恐ろしい社会になっているだろう」を引用し、「日本は今、新たなる国家存亡の危機に直面している。政治・経済・社会のあらゆる分野における行き詰まり感、人々の自信喪失、規範意識や公徳心の希薄化、犯罪の増加・低年齢化。過って経験したことのない、未来への夢を描けない時代のただ中にある。」このような状態だからとして、杉並区独自の教員採用し養成する「杉並師範館」を開設、その結果、都の教員採用を大幅に上回る7倍の倍率となったそうです。

そして、成人式では毎年2つの言葉を述べるそうです。1つには「今日帰ったら“今までありがとう”と両親にお礼を云う。手紙・メモでもよい、今日迄育ててくれた両親に感謝できなければ、立派な大人になれない。」

2つには「感謝してほしい人がいる。今から60数年前、日本が戦争の中にあり、皆さんと同じような年齢でありながら戦争で尊い命を捧げた人達である。今からその中の一人の青年の遺書を読み上げます」その内容を読み上げると二十歳の人達はその切々たる内容にしんと静まり、成人式は粛々と行われるそうです。

最後に全国に“漁火”の火を皆さんと共に灯して行きたい、との言葉で講演を結ばれました。


以上
平成22年12月1日
税理士法人マークス
代表社員 植村 祐三