代表社員 植村 祐三


 中学校の同級会が世話好きな幹事のお陰で毎年、四国・高松等で行われます。私も傘寿となりますが卒業生90名中70名が存命中です。
 現在の平均寿命は男性81歳、女性87歳ですが、統計上の80歳以上の平均余命はあと10年位は延びると思われており、医療の高度化により、100歳迄はどうしても生かされるような時代となった。
 また、高齢者単独乃至(ないし)夫婦の世帯率は50%を超え、同居世帯率を超えている。
 上野千鶴子著『おひとりさまの最後』を一読して、今後の日本の超高齢化社会の実態が理解できました。「我々が今後どう生きるべきか」という視点から大いに参考になる内容でした。以下、その内容・感想を述べます。

 上野氏は子供から「一緒に暮らさないか」という“悪魔のささやき”に乗り、同居した為に老後プランが乱されるケースが余りにも多く、同居しだすと生活環境が激変し、要介護となればお荷物となり、反対に親の元へ子供が住むと最後、子供の都合で住み慣れた自宅から施設や病院へ追いやられる。

 政府の思惑は、在宅誘導へとはっきり舵を切った。『ほぼ在宅介護・時々病院』と呼ばれる状態を作るために、医療・福祉コストの抑制に努め、2014年医療・介護一括法案が成立、介護保険法関係は2015年より順次施行される。
 また、2015年に2020年迄の『少子化社会対策大綱』を決定し、『3世代同居優遇政策』を打ち出した。これは大変な時代錯誤である。何故なら、別居は親・子供共に気楽である。ほぼ、双方にとって、「しぶしぶ・やむなく」の苦渋の選択だからである。病院に在宅復帰率というハードルを課し、長期入院を抑制したが、「施設で医療を受けられる」などと云うと、施設の点数も切下げ、特別養護老人ホーム入居条件は要介護度3以上へと厳格化し、施設建設は抑制される。厚生労働省の試算では、年間死亡者数が益々上昇するので、病床数が増大しないと、ピーク時には年間最大40万人以上の看取り難民が発生する。

 在宅死、病院死・施設看取りが老人の幸せではないので、在宅でも安心して暮らせる受皿が必要である。そこで、最後の手段として、現在、空家の増大対策の1つでもある、ホームホスピスを利用するという方法があります。
 上野氏の著書で紹介されている実例によると、創業11年目を迎える市原美穂さんの経営する『ホームホスピス宮崎・母さんの家』の内容は、普通の民家を借上げ、家で暮らせなくなった老人に普通の暮らしを保証する。一度、引受けたら最後まで責任を持つと云う。その為に、5人限定入居であり、相当な覚悟の上で経営されている様子が伺われる。
私も、大阪・梅田から直行バス1時間で到着できる奈良市の西名阪道・針インター入口近くの緑豊かな茶畑の横に所有している自宅が、3年前より空家となっており、事例のような空家利用について、有効活用が出来るか否かを検討中です。 

 また、“ホスピス”とは、もう治療の余地のない終末期患者に対する『終末ケア病棟』という意味であり、“ホームホスピス”とは『在宅ホスピス・終の棲家』という意味です。
 日本人にとって、ホスピスは『死を待つ家』のイメージだが、ヨーロッパの福祉先進国でのホスピスは日本に比較し、より徹底した対応をしており、ホスピスにはナースが勤務しているだけで、常駐医師は居なく、近くの病院から『緩和ケアの医療チーム』が通ってくるだけで、基本的には、医療行為はしない。ここには、安楽死の思想につながるドライな生死感があります。