代表社員税理士 植村祐三

 固定資産税の内容は、土地・家屋・償却資産(機械・備品等)に対して、地方自治体(市町村等)が、毎年1月1日現在の所有者に対し課税標準額を基に課税します。

課税標準額は3年に一度、評価額計算の見直をして、毎年固定資産税納税通書が送付されて来ます。
課税方式が賦課課税方式(市町村等が課税額を査定・決定して、所有者へ通告する納税制度)であり、個人・法人税のように納税者が自主申告によって支払税額を計算しない為、納税者は余り納税額に不信感を持たず、固定資産税を支払っていると云う実態があります。
そして、総務省調査によると、例えば、平成9年から3年間の間に、土地・家屋に関わる固定資産税・都市計画税の課税に関して、97%の地方自治体で何らかの課税ミスがあった、と公表されています。

また、市町村の固定資産税は市町村の全税収入の約44%を占めております。この内訳は土地・家屋が全体の80%と重要なウエイトを占めており、このため、固定資産税は地方自治体にとっては大きな財源です。
ところが、市町村の固定資産税業務の担当者は少人数で業務をしております。
 
家屋に対しては課税根拠となる課税標準額を計算するための“家屋再建築費評価点数算出表”がインターネットで公開されておりますが、相当複雑な内容です。これを担当者が一軒一軒確認計算する為、担当者の経験・レベルにより計算・入力ミスが発生する可能性が高いのです。

また、3年に一度、市町村等が算定する土地の評価については専門家である不動産鑑定士に一部業務を委嘱していますが、家屋・償却資産の税額計算は市町村職員が担当しており、しかも、課税対象戸数も多く計算方法が複雑であること、税の専門家が担当しないことが、課税ミスを誘発する原因であると言われています。

課税ミスが起こっても地方税法上は5年で時効を迎えてしまうので、家屋・償却資産税の課税ミスに対する整備が望まれます。
 平成26年6月13日付、日本経済新聞によると、東京・世田谷の商店街所有の人気漫画「サザエさん」の銅像が、店舗の看板と同様の事業用の償却資産だとして、課税されて物議をかもしたが、結局、東京都は課税しなかった。
 
 そこで具体事例を少し検討します。
@千葉県柏市で入力ミスに気付かず家屋の固定資産・都市計画税を7年間過徴収
*644世帯から約5,783万円の徴収ミス、システム変更時に誤った数値を入力 前回の基準を基に評価額を決定したミスがあった。
順次還付するという。

A北海道釧路市で償却資産建築物の工法・構造について誤判断
*「鉄骨造」を「鉄筋コンクリート造」と認定、約3,170万円還付した。
*ビルの2・3階部分を賃貸住宅としていた。市の評価は「非住宅地」として誤課税。誤課税分と和解金を含め、約96万円を返還した。

3年に一度課税の見直しがされる固定資産税は、将来の相続税対策準備の一助として、固定資産税納税通知書を徹底的に棚卸・調査する必要があります。是非、検討・見直しをするべきです。
 例えば、ビル・家屋の一部を事業用から家庭用に変更する場合等は、遅滞なく、市町村等へ変更手続きをする。それ以降、居住部分の減額特例が受けられる場合があります。