別紙、平成18年7月号ニュース「18年度税制改正の目玉・役員給与」と題して、役員給与(一般に会社役員の報酬・賞与・退職金といわれている言葉を税法上では役員給与と表現する)について述べましたが、役員給与について今後実務上、従前と比べ、相当注意して対応しなければならなくなりました。

 新会社法では最低資本金制が撤廃され、また、1人でも会社設立が可能な為、役員報酬を多く取り会社上の利益を過少にし、節税をする事例に備え、当局は法人税が取れなくなることを心配して、従来から存続する会社を十把一絡げにして、特に中小企業である同族会社の役員給与に的を絞り、飴と鞭の部分を創設・改正されました。

 飴の部分として、従来、役員賞与は収益を獲得するための費用にもかかわらず、ガンとして税法上経費には認めなかったが、事前に届け出をした金額であれば損金(経費)に認めることにし、その代り鞭の部分として、19年度改正で一部緩和された部分がありますが「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」が導入され、また、従来の役員報酬について「定期定額給与」のみ認めることとされました。内容は別紙のとおりです。 これに加えて、従来は従業員と同じく、利益・売上等に連動する歩合給的報酬も、非同族会社は認められても、同族会社には認めなくなりました。

 この改正には疑問点が多くあり、国税庁から「役員給与に関するQ&A」平成18年6月、「特株支配同族会社の役員給与の損金不算入に関する質疑応答事例」平成18年12月、として説明がありますので、インターネットで検索して見てください。相当部分は理解が深まりましたが、ここで1つの事例をご紹介することにします。

 これは日本税理士連合会開催での約1千人が集まった時の公開研究討論会の結果ですが、テーマは“特株支配同族会社の主宰役員は誰か”という討論で、主宰役員は役員給与の給与所得控除部分が損金不算入、つまり、経費として認められないことになります。

「A社(製造業)は長男が代表取締役(持株50%)・母と次男が取締役(夫々25%)

長男が対外的折衝全般を担当。経理は役員でない長男の妻が担当。次男は工場責任者・工場内人事権を持つ。役員は経営の最終的な決定について、母に報告承諾を得る。

 ところが、長男が急逝、使用人であった長男の娘婿を代表取締役に就任させた、長男の持株は妻10%、娘婿40%が相続。年間給与は娘婿500万円、次男1,500万円、母120万円」。この場合、業務主宰役員は誰か、@娘婿A次男B母のいずれだろうか。

 仮に母又は次男が業務主宰役員に該当すると、娘婿は?@代表役員たる娘婿、A給与が高い次男、B影の経営者たる母、という意見がほぼ3つに分かれました。

 この事例から判断されるように、同族会社たる中小企業は税務上、厳しい諸問題が常に発生しても、雨にも負けず、風にも負けず、経営を継続して行かねばなりません。